はじめに
一年の始まりや年度変わりは、生活や気持ちを整え直す大切な節目です。忙しさの中では後回しになりがちな「これからのこと」「もしものときのこと」も、この時期であれば、自信でゆっくり思い描くことが出来て、家族とゆっくり話し合う時間を持ちやすくなります。
「終活」という言葉に、重さや寂しさを感じる方も少なくありません。しかし本来の終活は、人生の終わりだけを見据えるものではなく、「これからをどう生きたいか」「家族にどんな形で想いを残したいか」を考える前向きな取り組みです。
特に近年は、家族葬をはじめとした葬儀のかたちが多様化し、事前に意思を共有しておくことの重要性が高まっています。何も決めないまま、最期の日を迎えるよりも、少しだけ話題に出しておくことで、家族の負担や不安は大きく軽減されます。
このコラムでは、「一年のスタート」「新年度」という節目をきっかけに、終活をどのように始めればよいのか、家族とどんな話をしておくと安心なのかを、具体的に解説していきます。決して難しいネガティブな準備ではありません。できるところから、一歩ずつ進めていきましょう。
なぜ一年の節目は終活を始めやすいのか
一年の節目は、多くの人にとって気持ちを新たにするタイミングです。生活リズムを見直したり、目標を立てたりする中で、「これから先の人生」について考える余裕が生まれやすくなります。この心理的な余白こそが、終活を始める最適なきっかけになります。
終活を後回しにしてしまう理由の一つは、「きっかけがない」ことです。日常生活では、仕事や家事、育児に追われ、立ち止まって将来を考える時間を確保するのは簡単ではありません。しかし、家族が集まりやすく、比較的落ち着いた時間を過ごせるこの時期は、自然な流れで話題にしやすいのです。
また、終活は一人で完結するものではありません。自分の意思を誰かに伝え、共有することで初めて意味を持ちます。家族が同じ空間で過ごす時間が増える節目だからこそ、「少し話してみようか」という一言が生まれやすくなります。
大切なのは、「必要なことを全部決めなければならない」と思わないことです。一年の節目は、あくまでスタート地点です。終活を特別な準備ではなく、生活の延長線上にある自然な会話として捉えることで、無理なく始めることができます。
ちょっとした会話のきっかけで終活についての話題は広がることが多いと聞きます。
新潟のこの時期は荒天日も多く在宅時間が長くなる頃です。「これからの人生について」家族といろいろなこと、話してみると意外に楽しいのが人生の総括=終活です。
終活は「準備」ではなく「共有」から始める
終活というと、書類を整えたり、相続や遺産整理等の具体的な手続きを進めたりするイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、最初から形に残る準備をしようとすると、かえってハードルが高くなってしまいます。
本当に大切なのは、「何を大事にしているか」「どんな考えを持っているか」を家族と共有することです。たとえば、「あまり大げさなことはしたくない」「家族だけで静かに見送ってほしい」といった気持ちも、立派な終活の一部です。
本人の意思が共有できていないと、万が一のときに家族が迷い、悩み、判断に苦しむことになります。「本人はどう思っていたのだろう」と考え続ける時間は、精神的な負担にもつながります。
一方で、生前に少しでも考えを聞いていれば、家族はその意思を尊重しやすくなります。完璧な準備よりも、断片的な想いでも構いません。「こういう考え方だった」という情報があるだけで、残された側の安心感は大きく変わります。
終活は、準備や記録を進める前に「話すこと」から始めてみましょう。
家族と話しておきたい基本の終活テーマ
終活の話題を切り出す際、「何から話せばいいかわからない」という声はよく聞かれます。その場合は、次のような基本的なテーマから始めると、会話が広がりやすくなります。
まず一つ目は、「自分が大切にしてきた価値観」です。仕事、家庭、人とのつながりなど、これまでの人生で何を大事にしてきたのかを話すことで、その人らしさが伝わります。
二つ目は、「これからの暮らし方」です。どんな生活を続けたいか、無理のない範囲で希望を共有することは、終活だけでなく日常の安心にもつながります。
三つ目は、「もしものときの考え方」です。具体的な内容でなくても、「派手なことは望まない」「形式より気持ちを大切にしてほしい」といった方向性を伝えるだけで十分です。
これらの話題は、重くなり過ぎず、自然な会話として進めやすいのが特徴です。終活を「特別な話」ではなく、「家族の会話の延長」として捉えることが大切です。
家族葬について事前に話しておく意味
近年、家族葬を選ぶ方が増えています。背景には、故人とごく近しい人たちだけで、落ち着いた雰囲気の中、ゆっくりとお別れをしたいという想いがあります。形式や人数にとらわれず、故人らしい見送りができる点が、家族葬の大きな魅力といえるでしょう。
家族葬は、参列する方の範囲や案内の方法を柔軟に考えられる葬儀です。その分、「どのようなかたちが自分たちらしいか」「どんな雰囲気で送りたいか」を家族で話し合いながら決められる自由さがあります。あらかじめ本人の考えや希望を共有しておくことで、家族はその想いを大切にしながら準備を進めることができます。
たとえば、「身内中心で静かに見送りたい」「親しい人には後日あらためて報告したい」といった方向性を伝えておくだけでも、葬儀のかたちは自然と定まりやすくなります。細かな決定事項まで決めておく必要はなく、考え方や価値観を共有することが何よりも大切です。
事前にこうした話ができていると、家族は故人の想いを尊重しながら、安心して葬儀の準備を進めることができます。家族葬の自由さは、家族にとっても心穏やかに向き合える時間をもたらしてくれるものです。
エンディングノートは完成させなくていい
終活というと、エンディングノートを思い浮かべる方も多いでしょう。一方で、「最後まで書ききれない」「何を書けばいいかわからない」と感じ、途中で手が止まってしまう方も少なくありません。項目が多く、しっかり書かなければならないと思うほど、かえって負担に感じてしまうこともあります。
しかし、エンディングノートは最初から完成させることを目指すものではありません。思いついたことや、その時点での気持ちを、少しずつ書き留めていくためのツールです。空白のページが残っていても問題ありませんし、「今はこう思っている」という内容が、後から変わっても構いません。人生とともに考えが変化するのは自然なことです。
大切なのは、上手にまとめることではなく、「自分なりに考えた」という痕跡が残ることです。短い一言や箇条書きであっても、その言葉は家族にとって大切な手がかりになります。「こういうことを気にしていたんだ」「こんな考え方をしていたんだ」と知ることができるだけでも、心の支えになります。
完璧さを求めず、自分のペースで向き合うことが、エンディングノートを無理なく続けるコツです。気が向いたときにページを開き、少し書き足す。その積み重ねが、やがて大切な想いとして家族に伝わっていきます。
※参考資料
「家族葬そら」でご提供している「エンディングノート」のコンテンツをご紹介します。
1.私の人生
・私の歩み
・生まれた時の私について
・就学前の私について
・小学生の時の私について
・中学生の時の私について
・高校生の時の私について
・その後の学校での私について
・就職後の私について
・綴りたい私の思い出
2. 今の私、これからの私
・今の私
・これからの私
3.家族への思い
・両親への思い
・兄弟への思い
・配偶者への思い
・子どもへの思い
・綴りたい家族の思い出
4.私のメッセージ
・介護や医療についての希望
・身体について
・告知や延命治療、尊厳死などについての希望
5.葬儀とお墓についての希望
・自分の葬儀についての希望・親戚・友人・知人の連絡先
・自分のお墓についての希望
・財産と遺言について
6.財産リスト
・遺言について
以上のようにネガティブな項目は記載がありません。自分の生きてきた時間を振り返り整理することから始められるので、書いていて思い出すことがあったり、懐かしい人を思い出したりと、なかなか前に進まないこともありますが、それでよいのです。気分が良い時に、ノートをちょっと開いてみて、書けそうなところ、書きたい項目からメモ程度に書き始めるだけで良いのです。
お金の話を避けずに向き合うために
終活の中でも、お金の話題は特に避けられがちです。しかし、何も伝えられていないと、残された家族が困る場面が多くなります。
具体的な金額を細かく伝える必要はありませんが、「どこに何があるのか」「大きな方針はどう考えているのか」を共有しておくだけでも、大きな助けになります。
お金の話は、信頼関係の上で成り立つものです。構え過ぎず、「念のため」というスタンスで向き合うことが、円滑な話し合いにつながります。
デジタル終活という新しい課題
現代の終活では、デジタル情報の整理も重要なテーマです。スマートフォンやパソコン、SNSや各種サービスのアカウントは、本人しか把握していないケースがほとんどです。
何も情報が残されていないと、家族は手続きに苦労することになります。最低限、「どのようなサービスを使っているか」「連絡先はどこか」といった情報を共有しておくと安心です。
デジタル終活も、一度に完璧にする必要はありません。思い出したときに少しずつ整理していくことが現実的です。
| 分類 | 主な内容・例 | 整理しておくポイント |
| スマートフォン・携帯電話 | 端末本体、暗証番号、指紋認証・顔認証 | ロック解除方法の有無を家族に共有 |
| パソコン・タブレット | 自宅PC、ノートPC、タブレット端末 | 使用有無と保管場所を明確に |
| メールアカウント | Gmail、Yahoo!メール、プロバイダメール | 契約・連絡用メールを把握 |
| SNSアカウント | LINE、Facebook、Instagram、X | 利用状況と削除・保存の意向 |
| 写真・動画データ | スマホ写真、クラウド保存データ | 残したいデータの有無 |
| クラウドサービス | Googleドライブ、iCloud、Dropbox | 保存先を把握 |
| ネット銀行・証券 | ネット銀行、証券口座、暗号資産 | 利用有無を必ず共有 |
| キャッシュレス決済 | PayPay、楽天ペイ、Suica | 残高・自動引き落とし確認 |
| 定期購入・サブスク | 動画配信、音楽配信、通販定期便 | 解約が必要なサービスを把握 |
| ネットショッピング | Amazon、楽天、Yahoo! | 定期購入・履歴確認 |
| 各種会員サイト | ポイントサイト、趣味の会員登録 | 不要・必要の整理 |
| パスワード管理 | ID・パスワード一覧 | 管理方法・保管場所共有 |
| デジタル遺品の意向 | SNSアカウント削除・保存希望 | 考え方を伝えておく |
無理なく続ける終活の進め方
終活は、一度で終わらせるものではありません。考え方や状況は、時間とともに変わっていきます。
大切なのは、「一度話して終わり」にしないことです。毎年の節目ごとに少しずつ見直し、必要に応じて更新していくことで、終活は自然な習慣になります。
家族との会話を通じて、「考えが変わった」「こうしたいと思うようになった」と伝えることも、終活の大切なプロセスは「家族との共有」です。
まとめ|小さな一歩が家族の安心につながる
終活は、決して重い義務ではありません。これからの人生をより安心して過ごすための、前向きな取り組みです。
一年のスタートという節目に、少しだけ立ち止まり、家族と話をしてみる。その小さな一歩が、将来の大きな安心につながります。
すべてを決める必要はありません。話すこと、共有すること、それだけで十分です。終活を通じて、家族との絆をより深める時間にしていきましょう。
終活のひとつとして「葬儀の事前相談」もおすすめです
葬儀に関して「あまり考えたくないから事前準備はしない」と言う話を聞きますが、大切な人とのお別れの日は悲しいけれど、必ずやってきます。お葬式はどんなふうにしよう…と事前に家族で相談しておくことは、当日慌てないためにとても重要です。
ご本人の希望や、お招きする方など、事前に把握、家族や葬儀会社と相談しておけば、当日混乱したり、後々後悔することも少なくなります。
葬儀に慣れている方なんて居ませんから、お寺様との連絡方法、御親戚・御友人等の把握、そして何より葬儀費用等は「事前相談」をすることで、疑問の残らない納得のいくご葬儀を行うために、事前に葬儀の費用や内容を確認しておくと安心です。