近年、霊園や樹木葬の人気が高まっています。その背景にはさまざまな理由が考えられますが、お墓についても個人の考えが尊重される時代です。お墓の新たな選択肢として、霊園や樹木葬を検討しておくのもいいでしょう。

これまでお墓は「家」単位のものだったため、墓石には「○○家の墓」といった代々継承していく家名などが刻まれていることがほとんどです。昔はそれが当然で、嫁ぎ先のお墓に入ることが当たり前でした。

しかし、個人の考え方や生き方が尊重されるようになってきた現代。「嫁ぎ先の墓には入りたくない」、そう考える人も増え、お墓に対する考え方や葬送方法についても、個人の意志が尊重されるようになってきました。伝統的な寺院墓地に加え、樹木葬や納骨堂、霊園など、これまで統一的であった葬送方法も自分の意志で選べるように。

また、親子･親族が離れて暮らしていたり、子どもが少ない場合などは、代々続くお墓の管理が難しいといったケースも。そういったさまざまな時代的背景から、これまで「家」で持つものだったお墓が、「個人」で持つものとして、広く一般に認知されるようになったのです。よって、「個人」単位のお墓である樹木葬や霊園が、支持を集めるようになったと考えられます。

また、お墓に経済的な負担をかけたくない、という考えを持つ人も増えています。比較的自由なスタイルが多い樹木葬や霊園は、費用面でも抑えられるケースがほとんどです。そういった人にとっても、樹木葬や霊園は新しいお墓の選択肢として、支持されるのでしょう。

新しいお墓のスタイルの中でも、特に樹木葬の需要は年々高まっています。樹木葬も多くは、霊園や寺院が管理を担う跡継ぎのいらないお墓です。そういった特徴に加え、樹木葬は、緑の多い場所で自然を感じたながら眠ることができる、いわゆる“自然に還る”ような環境が多く、そういったロケーションの良さも、樹木葬を多くの人が支持する大きな理由といえます。

樹木葬といってもそのスタイルはさまざまです。

■里山型

墓地の許可を受けた山林などに、人工的な手を加えず自然の状態を保ったままの場所に埋葬します。埋葬場所の近くに樹木を植えるケースや、自生している樹木の周囲に埋葬する場合もあります。

■公園型（都市型）

整備された公園のようなロケーションに、シンボルツリーを植え、そのまわりに埋葬するタイプの樹木葬です。都市部の霊園や寺院に設置されているケースが多いです。

■ガーデニング型

イングリッシュガーデンのように、さまざまな草木で彩られた場所に埋葬されます。区画が決められていることが多く、都市部に設立されることが多い樹木葬です。

ご自身が、死後、どのようなロケーションで眠りたいかも大切ですが、家族がいる方は、残された家族がお墓参りに行きやすいかどうかなど、アクセスの良さなども考慮する必要があります。

また、費用をはじめ、埋葬方法、法事の行い方、埋葬できる霊位の数など、細かなルールは霊園によって異なります。事前に現地を確認し、資料などをしっかりと読んだうえで検討するようにしてください。

「合祀（合葬墓）」や「永代供養墓」も霊園などによく用意されている埋葬スタイルです。では、これらと樹木葬の違いとは…？　基本的に樹木葬は区画分けされているので、どこにお骨が入っているかわかります。一方、合祀（合葬墓）や永代供養墓は一カ所にお骨を埋葬するケースがほとんどなので、埋葬した後の墓所は個別になっていません。

新潟県内には、合祀（合葬墓）、永代供養墓、樹木葬など、さまざまなタイプが用意されている霊園も多いです。一般的に、一カ所にお骨を埋葬するスタイルの方が、価格が安価になります。より、お墓にかける費用を抑えたいという方は、一カ所にお骨を埋葬するタイプのお墓を選ぶといいかもしれません。

そして実は、墓石も「個人墓」や「夫婦墓」といった継承不要型のものが注目を集めています。その名の通り、自分一人、もしくは夫婦のみを埋葬するために建てる墓石です。代々入れるお墓とは異なり、コンパクトでシンプルなデザインが多いのも特徴です。これらは基本的に永代供養墓になるので、契約の最後の人が納骨されてから契約満期になるまでの期限があるお墓です。満期になったら、最終的には合祀されるのが一般的です。現代は、埋葬のスタイルだけでなく、墓石まで選ぶことができるのです。