大切な家族を亡くして喪に服す期間はとても大切です。喪中の期間は祝い事や派手な行事は控え、慎ましく過ごすことがよいとされています。特に世間がお祝いの雰囲気に包まれる年末からお正月にかけては、御歳暮、年賀状や新年挨拶などの恒例行事・イベント等、普段とは少し違いを意識しながら生活する必要が有ります。今回(後編)はお正月の定例行事や親戚、友人、また職場の上司、同僚との付き合い方について考察しました。行事への参加や風習や習慣、慣例に関しては、それぞれの家や家族の考え方によって異なる場合もあるため、ご自身や家族で話し合って判断してみてください。
喪中=お正月、年末年始の過ごし方
年賀状について
最近では「年賀状じまい」と言って、年賀状を定期的に差し出すことを取り止める人が増えているようですが、近況確認のお知らせの意味を込めて継続している人も多いようです。
喪中の時は「年賀欠礼」として年内に案内するハガキまたは手紙を出すのが一般的です。「年賀欠礼」を出す場合は、どなたがいつ亡くなられたのかのみを記載するシンプルな書面が多いようです。
投函する時期は、相手先が年賀状を書き始める12月上旬頃までに届くよう手配するのがよいでしょう。
※喪中に年賀状が送られて来たら
喪中に年賀状を受け取った場合は、松の内が明けてから、「寒中見舞い」を出しましょう。寒い時期のご挨拶という意味なので、これなら喪中に送っても問題はありません。
年末の大掃除について
神棚や仏壇もふくめて、大掃除は積極的に行いましょう。神仏が座する場所を清めたことが、掃除のはじまりです。年末の大掃除のはじまりは古く平安時代からと言われています。穢れを清め暮らしの場を浄化して、新しい年を迎える大切な行事です。喪中でも率先して行いましょう。あくまでも参考ではありますが、風習では大掃除をやってはいけない日も存在しており、12月29日、31日、元日の1月1日は大掃除は避けるべきとされています。
(※)12月29日は数字に「9(苦)」がつくので縁起が悪い、大晦日の31日も「一夜飾り」と呼ばれ、慌てて準備した印象を与えるので「神様に失礼」とされています。また元旦に掃除すると、やってきた「福」まで逃げ出すとされているので、避けた方が良いでしょう。
年越し蕎麦、おせち料理、お雑煮
年末~年越しにかけて、特別に頂くものも増えます。大晦日に蕎麦を食べる習慣は、江戸時代に定着しました。細く長いソバを長寿にたとえ、縁起をかついだのが由来です。またお雑煮も喪中でも遠慮せず食べましょう。
御祝の意味の強いおせち料理は慎んだ方が良いと思います。現代では、忌中でなければおせち料理を食べてもよいと考える方もいます。その際は、「めでたさを重ねる」という意味の重箱は使わず、慶事の食材である伊勢海老や鯛、紅白のかまぼこなども使わないように工夫したいものです。
お屠蘇(おとそ)など新年を祝うお酒を飲み邪気を払い、家族に幸を呼び込む御祝の風習ですが、こちらも慎んだ方が良いでしょう。
お正月飾りはどうしよう
忌中・喪中に「門松」「しめ飾り」「鏡餅」などの正月飾りをするのは、基本的には控えたほうがよいでしょう。正月飾りの門松、鏡餅、しめ縄などは、もともと神道の習慣です。門松やしめ飾り、鏡餅は神道において「1年を何事もなく過ごすことができた」というめでたさを表すものであるとともに、神様をお迎えするための道具でもあります。神道では死を穢れと捉えています。穢れのある期間の忌中に神様を家に呼ぶ行為はふさわしくないと考えられているため、正月飾りをしないのが一般的です。
一方、忌中ほど厳しく慎まなくてもよい喪中ならば、正月飾りを飾っても問題ないという考え方もあります。しかし、お正月は基本的に神様を迎え入れ、新年をお祝いする行事です。喪中期間はお祝い事を自粛するという風習があるため、正月飾りを控えることが通例となっています。
初詣は行っても良いか?
新潟県の全ての神社をつかさどる新潟県神社庁(三条市 電話0256-32-0613)に直接電話で問い合わせました。五十日祭(四十九日法要)までが「忌」の期間、一年祭(一周忌)までを「服」の期間とするのが一般的です。
ですので、「忌」の期間である50日を過ぎれば、原則として神社の参拝や家庭でのおまつりを再開しても差し支えないと考えられます。
ただし、「忌」の期間中(五十日祭・四十九日法要)は神社への参拝を遠慮しますが、やむを得ない場合にはお祓いを受けてから参拝するのがよいでしょう。
因みにお寺は忌中・喪中でも初詣は問題ありません。
仏教では、死を穢れとは捉えていませんので、神社への初詣は避けるべきですが、仏教の祭祀の場となるお寺には、喪中・忌中であっても初詣に行くことは問題ないとされています。
親戚や友人、職場の上司・同僚との付き合い
親戚や友人との集まり・会合など
親戚で集まる場合、故人が自分の親族か、配偶者側の親族かによって対応が変わります。亡くなったのが自分の親族の場合、元旦に配偶者の家に集まるなら差し障りはありません。亡くなったのが配偶者の親族の場合、相手の考えに沿って決めてください。喪に服している自分の家に親戚を招待するときは、新年のお祝いとしてではなく、旧年中に旅立った故人の在りし日を思う会として集まってもらいます。このとき、年始祝いのお年賀は控えるようにします。
お年玉は渡しても良い?
親戚が集まると子供達の楽しみ…「恒例のお年玉」についても悩むところですが、お出ししても良いでしょう。お年玉には神様からいただいた賜物(たまもの)という意味がありました。お正月に神様にお供えしたお餅を、みんなで分けたことがお年玉のはじまりといわれています。いつからかお餅ではなく、子ども達にお金をあげるようになりました。お年玉はお祝い事の1つではありますが、おめでたい柄のポチ袋を避けたり、表書きを「お小遣い」や「書籍代」などにしたりして渡すのであれば良いのではないでしょうか。
新年の挨拶
親戚や友人、会社の上司・同僚との間での新年の挨拶は控えるのが一般的です。
喪に服す期間に定めはありませんが、目安として一周忌にあたる1年間は祝いごとを避けるため「明けましておめでとうございます」を始めとした新年の挨拶はしません。親戚を亡くしたことを知らない人から新年の挨拶をされても、同じように返さないよう気を付けてください。
例えば「去年は、いろいろとお世話になりました。今年も引き続きよろしくお願いします」など、お祝いの意味を含まないよう意識する必要があります。
忘年会、新年会、パーティに誘いを受けたら
お正月、年末年始は何かと宴席が多くなる時期です。以前は忌中、喪中ともに遠慮するのが一般的でしたが、近年は忌中(故人の四十九日法要)が明けていればよいとされています。また職場の同僚や友人達と個別で飲食を共にすることも多くなる時期ですが、こちらは個人判断で良いと思います。但し派手に振舞うことなく、常識範囲の時間帯で切り上げることをおすすめします。
喪中の結婚式参加・慶事参列について
正月、年末年始に関わらず、喪中に結婚式に呼ばれた場合は、一般的には出席を控えるのがマナーとされています。縁起が悪いとされ、新郎新婦に失礼にあたるためです。ただし、近年では忌明け(四十九日)を過ぎたら出席してもよいという考え方も増えています。また、新郎新婦側から出席を強く希望される場合や、両家が納得すれば出席してもよいという傾向もあります。結婚式を欠席する理由が喪中であった場合は、理由は伏せるのがマナーです。結婚式のおめでたい席で、不幸があったということを幸せなふたりに知らせるのは避けましょう。理由を聞かれた場合は「やむを得ない事情」とだけ、伝えてください。
忌中(故人が亡くなってから四十九日を迎えるまでの期間)であれば、一切のお祝い事や外出を避け、自宅にこもるとされているため、喪中よりも深い意味合いがあります。このため、忌中であれば結婚式の出席はお断りするのがマナーです。お声掛け頂いた方に事情を説明してご理解頂くのが良いと思います。
旅行はしてもよいか
正月、年末年始の長期休暇を利用して、旅行を計画している人も多い時期です。一般的な考えとしては「喪中の旅行は避けた方がよい」という風潮が強いです。
喪中に旅行してはダメと言う事はありませんし、もちろんビジネス等での出張は中止する必要はありません。但し娯楽として旅行に行くのはあまり好ましくありません。
喪中は故人の死を悼んで行動を慎むので、御祝い事や遊行、娯楽は控えるのが一般的です
因みに明治時代は、「服忌令」という喪中の規定を定める法律がありました。「服忌令」では、旅行は娯楽にあたるとして、喪中には避けるべきだと定められていました。
現代には、喪中の法律があるわけではありませんが、その慣習や考えが残っており、喪中に旅行へ行くことは不謹慎という印象があります。
以前から計画していた旅行の場合、キャンセルするのは非常に残念かもしれません。一番のおすすめは喪中が明けたときに改めて行くなど、計画の変更を検討ことです。
まとめ
今回のコラムでは、喪中や忌中のお正月に控えるべきことや、行ってもよいことなどについてご紹介してきましたが、ご家族の故人様へのお気持ち、ご家族各人の心の状態、地域ごとの考え方などによっても過ごし方は異なります。
喪中や忌中でのお正月の過ごし方で最も大切なことは、故人様を偲びながら過ごすことですから、「こうしなければならない」とあまり深く考えすぎずに、最低限のマナーを守りつつ、故人様を思って過ごされてはいかがでしょうか。
葬儀に関することで疑問や不安は、万が一の時に慌てないためにも葬儀社主催の「事前相談会」で分からないことを相談するのもひとつの選択肢です。また事前相談会は、自分がどんな葬儀をしたいのか? 費用はどの程度必要なのか? 事前に決めておくべきことはどんな事なのか?を確認するのが一般的ですが、経験豊富なスタッフが揃う「家族葬そら」の事前相談会では、お正月、年末年始の過ごし方で不安や疑問に感じていることの相談についてもアドバイスしてくれます。相談会は随時開催していますので、下記よりお問い合わせください。
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