法事、法要

一周忌法要の準備について/後編

作成日:2024年10月31日 更新日:2024年10月31日

故人が亡くなってから1年目の同月同日が「一周忌」です。一周忌を行う法要を「一周忌法要」と言い、遺族をはじめ親族・友人やご近所の方など、故人と親交のあった方々が参列し、僧侶の読経、焼香、会食などが行われるのが一般的な一周忌法要です。一周忌法要は年忌法要の中でも重要とさせています。

前編では「一周忌法要」の基礎知識、準備、流れについて解説しましたが、後編ではマナーや家族だけでの法要、また諸事情により法要が開催出来ない場合についても解説します。

目次 [閉じる]

一周忌法要のマナー

一周忌法要のお布施

法要を営む時は僧侶にお布施を渡します。お布施を渡すタイミングとしては、最初に施主が僧侶へあいさつをする際に渡すのが一般的です。法要の際のお布施も、ほかのお布施と同じように決まった額はありませんが、地域によっても違いますし、法要の規模や寺院との関係の深さなどを考え、包む金額を決めます。判断に困った場合は、寺院に直接聞いても良いでしょう。自宅や会場に僧侶を招いて法要を営む時は、お布施とは別にお車代が必要です。白封筒か半紙に包んで「御車代」と表書きします。また、僧侶がお斎を辞退した時は、お膳料が必要になります。こちらも白封筒か半紙に包み「御膳料」と表書きします。

お布施の書き方

・表書
表書きでは、中心よりもやや上の所に「御布施」「御布施」「御経料」「御礼」などと記述します。最初から印字されている御布施袋の場合は、そのまま記述せずに使用してかまいません。また、交通費をお渡しする際には「御車料」、宴席代をお渡しする際には「御膳料」と記述します。記述にあたっては、濃い墨の筆を使うことが一般的です。毛筆がベストではありますが、扱いが難しいと感じるようであれば筆ペンでも問題ありません。
ただし、薄い墨を使用すると慌てて書いたことを連想させてしまうことから、濃い墨の筆ペンを使用することが通常です。

・中袋
中袋には、主に以下の要素を記述します。

【中袋へ記述する項目】

①喪主の名前(左下に記述する。)

②住所(左下に記述する。郵便番号や電話番号を記入するとより丁寧になる。)

③金額(右上に記述する。頭に「金」、最後に「也」を入れる。旧字体の漢数字を使用する。)

住所や金額についても記載することで、丁寧・親切な印象を与えられるためです。

・名前
名前を書く際には、封筒の表の下の部分に記述します。名前を書き忘れると、寺院側が誰から受け取ったものか分からなくなるため重要です。施主の名字かフルネーム、もしくは「○○家」と記述することが通常です。「〇〇家」とするのであれば、裏面に喪主のフルネームを記述しましょう。記述に当たっては、表書きの「御布施」の文字よりも大きくならないようにします。使用する筆は、表書きに使用したものを使用することが通常です。

お布施を書く時の注意点

記載に使用するのは、原則として黒墨(薄墨ではない通常の墨)です。弔事の場合は香典と混同して薄墨を使用すると思い込んでしまう方もいますが、御布施は僧侶へのお礼を包むものであるためです。

包む金額は漢数字で書く

金額を記載する際には、数字には原則として旧字体の漢数字を使用します。
旧字体の漢字数字とは、主に以下のとおりです。
【使用する旧字体の例】

  • 1:壱
  • 2:弐
  • 3:参
  • 4:四
  • 5:伍
  • 6:六
  • 7:七
  • 8:八
  • 9:九
  • 十:拾
  • 百:佰
  • 千:仟
  • 万:萬
  • 円:圓

例えば、8万円であれば「金八萬圓也」、3万円であれば「金参萬圓也」と記載します。

一周忌法要の服装について

一周忌法要では正喪服もしくは準喪服を着用することがマナーですが、家族のみの場合であれば落ち着いた色の略喪服で行うことも可能です。

案内状に服装について指定されている場合もあるため、案内状の記載の服装に従いましょう。葬儀や法要で着用する喪服については次の表の通りです。

  • 男性の場合

一周忌に参列する男性の服装は、格式を重んじる場として準喪服が基本とされます。

ブラックスーツは、その代表的なものであり、シャツは無地の白が望ましいでしょう。

ネクタイは黒色を選ぶことで、一層の重厚感を演出します。

アクセサリーは控えめにし、結婚指輪や婚約指輪を除いては身に着けないのが礼儀とされています。

足元に関しては、黒の革靴を選び、靴下も黒色を着用することで、統一感を出すことが大切です。

こうした服装を心がけることで、遺族への敬意を表しつつ、法要の厳粛な雰囲気にも適したスタイルを保つことができます。

  • 女性の場合

女性が一周忌法要に参列する際には、ブラックフォーマルと呼ばれる服装が求められます。

ワンピース、アンサンブル、スカートスーツなど、落ち着いたデザインの黒い服を選びましょう。

装いは慎ましく、過度な装飾やアクセサリーは避けてください。

肌の露出は最小限に抑え、ストッキングは必ず着用します。靴も同様に、シンプルなデザインのものを選び、

ヒールは高すぎないことが好ましいとされています。

家族だけで執り行う一周忌法要

近年の簡素化傾向について

一周忌法要は、四十九日法要や三回忌法要と並び、遺族や親族だけでなく友人や知人といった比較的広い範囲の参列者を招くことが一般的です。しかし、昨今では家族のみで行う小規模な一周忌法要を設けるケースが増えています。その背景として、親密な親戚づきあいをする家庭が減少していることや、「親戚が遠くに住んでいる」「日程調整が難しい」「費用負担を軽減したい」などが挙げられます。

家族だけで一周忌法要を行う時の注意点

家族のみで一周忌法要を行う場合、一般的な一周忌法要と比べて、内容を簡略化することができます。しかし、守らなければならないマナーもあるので、家族のみで行う場合の注意点もしっかり確認しておく必要があります。

家族のみで一周忌法要を行う場合、親族・知人に法要を終えられた旨を記載した挨拶状を送のが一般的です。理由としては、一周忌法要に招かれなかったことに不快を感じ、親族間のトラブルになるのを未然に防ぐためです。挨拶状を送る親戚や知人のリストを作成しておき、送り漏れがないようにしておくとスムーズに準備やお知らせを行うことができます。

葬儀に参列していただいた方の中で一周忌法要にも参列したいという方がいるかもしれません。その場合は事前に家族のみで行うという案内状を送りましょう。

また、参列はしないがお供え物を送っていただける場合や、お線香をあげに来ていただける場合もあるため、お礼状を送るなど対応することが大切です。事前にお供え物を送っていただいた方には、挨拶状の代わりにお礼状を送るのがマナーとなっています。

さまざまな理由で一周忌法要が出来ない場合

年忌法要を営む年に「施主が病気で入院」「仕事の都合で家族が集まれない」「経済的な問題」など、さまざまな理由で、法要ができない場合があります。しかし、法要はここで紹介したような一般的な形式で行わなければならない決まりはありません。本来、法要は故人を追悼し、供養するという意味合いを持っていますから、僧侶に連絡をして、法要の日に寺院での読経をお願いし、自宅の仏壇やご遺影の前で手を合わせて祈るということも可能です。このため、海外や遠方にいる場合は、家族で故人をしのびながら会食を行うことも法要の1つの形と言えます。

まとめ

一周忌法要は、四十九日法要や三回忌法要と並び、遺族や親族だけでなく友人や知人といった比較的広い範囲の参列者を招くことが一般的です。ここ数年で増えた、家族葬の普及により、家族のみで行う小規模な一周忌法要が増えています。多くの人が参加する法要は遺族にとっても負担になりえます。一周忌法要は、故人が亡くなり葬儀を行ってから、満一年目の時に行う法要の1つです。四十九日の次に大切な法要とされていますが、一周忌の法要は家族のみで行っても問題はありません。法要をどの程度の規模で行うかは家族の考え方次第です。

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