法事、法要

一周忌法要の準備について/前編

作成日:2024年10月25日 更新日:2024年10月25日

故人が亡くなってから1年目の同月同日が「一周忌」です。一周忌を行う法要を「一周忌法要」と言い、遺族をはじめ親族・友人やご近所の方など、故人と親交のあった方々が参列し、僧侶の読経、焼香、会食などが行われるのが一般的な一周忌法要です。一周忌法要は年忌法要の中でも重要とさせています。

今回はその「一周忌法要」の基礎知識、準備、流れについて解説します。

目次 [閉じる]

法要の基礎知識

法要は故人を追悼する供養の儀式

仏式の法要は、故人を追悼するために忌日や命日に行われる儀式です。仏教では主に、忌が明ける四十九日までを「中陰」と言い、7日ごとに計7回の法要が営まれます。これは、あの世で7日ごとに7回、生前の善行や罪に対して審判が行われるという仏教の考え方から、それぞれの審判の日に供養を行い、故人が浄土へ行き成仏できるように願う意味があります。

法要は自宅や寺院で行われることが多く、僧侶の読経の後、お斎の席を設けるのが一般的です。

重要な忌日法要

故人が亡くなってから百日目までの法要を「忌日法要」と言います。現在では、初七日と四十九日法要の2回だけに省略するのが一般的で、特に初七日、三十五日の法要は遠方の参列者への配慮から、葬儀の日に併せて営むことが多くなっています。

四十九日は「満中陰」と言い、一般的にこの日をもって忌明けとされるほか、四十九日は故人の死後の行方が決まる日とされ、初七日と同様の盛大な法要を営みます。また、この日に納骨式を併せて行うことも多いようです。

一周忌以降は徐々に内輪だけでの法要に

死亡した同月同日の命日を「祥月命日」と言い、祥月命日に行う法要を「年忌法要」と言います。亡くなった翌年に行うのが一周忌、その一年後が三回忌です。その後は七回忌、十三回忌…と続きます(詳しくは下表参照)。年忌法要は本来、祥月命日に行うのがしきたりですが、参列者の都合を考え、土日などに行われることが多いようです。その場合、命日よりも前に行います。一般的には三十三回忌が最後の法要で「弔い上げ」と言います。

外部との接触を避けて身を慎む忌中と弔意を表す喪中

かつて、忌中の間は喪服を着て、家の門戸を閉めて完全に外部との接触を絶っていました。また、お酒を飲んだり肉や魚を食べたりすることもせず、精進料理を食べて過ごしていました。忌中は死に接した身を慎み、喪中は弔意を表すという意味があります。一般的に四十九日までを「忌中」、1年間を「喪中」としています。喪中は慶事への出席を控え、神社への参拝などを控えるケースが多いようですが、近年は考え方の多様性と共に家族の判断でよいではないでしょうか。

命日の数え方

法要を営む時は、故人の祥月命日を基にして考えます。

故人が亡くなってから、まる1年目にあたる祥月命日が一周忌です。三回忌以降は亡くなった年を含めた数え方(数え年)になります。例えば、三回忌は亡くなってから満2年目、七回忌は亡くなってから満6年目というように数えていきます。

一周忌法要の準備

忌明けの法要でもある四十九日や一周忌など、大きい法要を営む際は、2カ月以上前から準備して、日時・場所の決定、法要の案内、お斎の手配などを行います。

施主を決める

法要を営む際に、中心となって取り仕切るのが施主です。施主は葬儀で喪主になった人が務めるのが一般的です。もし、何らかの事情で務められない場合は、喪主に準ずる人が務めます。

開催日時を決める

祥月命日に営むのが理想ですが、参列者の都合を考え、命日より前の休日に行うのが一般的です。まず寺院に連絡したうえで日時を決めます。

一周忌法要をどこで開催するか?

・自宅で開催する場合

自宅で法要を開催する場合は、仏壇の前で行うのが一般的です。葬儀社に依頼し、法要用の祭壇を設置することもできます。法要を営む前に家の内外を掃き清め、仏壇もきれいに清掃します。家の中にある派手な装飾品などは目につかない場所に移動するか隠しておきます。

また、仏壇の前には参列者が持参した供物を並べる供物台を設けましょう。供物台は小机に白布をかけて作るのが一般的です。法要当日の朝は、仏飯や浄水などの日常の供物を済ませておきます。
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・寺院で開催する場合

寺院で法要を開催する場合には、遅くても1カ月前には施主が直接寺院に出向いて依頼をし、日時を決めるのが礼儀です。法要当日、施主と家族は参列者よりも早めに寺院に到着するようにし、僧侶にあいさつをします。寺院には、ご位牌や供花・供物などを持参します。

供物は宗派によっても違うため、あらかじめ寺院に供えるものを確認をしておいたほうが良いでしょう。

参加者を決める/法要開催の連絡

法要の日時が決まったら、法要に招く人の範囲と人数を決めます。法要の1カ月前までには案内状や電話で出欠を確認し、最終的な人数を確認します。

引出物の手配

参列者に、故人を供養してくれたことに対するお礼として渡す引出物の用意をします。引出物はタオルやシーツ、お茶・お菓子などの日用品を選びます。

引出物には黄白の水引が印刷された紙に「志」と表書きをします。なお、一軒の家から複数の人が参列する場合は一家に一品、もしくは違う品物を渡すなどの配慮が必要です。

会食の手配と会場選定について(お斎の手配)

一周忌法要の後は、僧侶と参列者をお斎の席へ招待するための会場や料理を手配します。葬儀会場・料亭・ホテルなどに席を設けたり、自宅に仕出し料理を取り、参列者をもてなしても良いでしょう。また、お斎を省略する場合は、折り詰めや小瓶のお酒を用意しておきます。

ホテルの場合、法事・法要の専用プランが設定されています。所在地はアクセスも比較的良い場合が多く、参加人数が多い場合や事前準備などの負担を抑えたい方には、とても魅力的な選択肢です。人数や希望の法要・会食スタイルを担当者に伝えれば、祭壇・遺影・装花・メニュー印刷や、演出と進行、寺院やゲストの送迎車、芳名帳、引出物など、法要に関わるあらゆる手配をしてくれます。ホテルや葬祭ホールによっては案内状の印刷・宛名筆耕、発送、御礼状の印刷なども全て請負ってくれるので、法要前後の対応が楽になるメリットがあります。但し費用はそれなりに掛かるので家族とよく相談してみてはいかがでしょうか??
新潟市内のシティホテルでもプランを用意しているので、その一部をご紹介します。

 

 

 

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一周忌法要の流れ

一周忌法要には、特に決められた儀式などはありません。一般的に、僧侶の読経、参列者の焼香を順に行い、場合によっては僧侶の法話を拝聴します。

僧侶を迎える

自宅や会場で法要を営む場合は僧侶を送迎するのが礼儀です。自家用車かタクシーで施主または遺族が直接寺院に出向いてあいさつし、僧侶の手荷物を持ちます。僧侶が法要の会場に到着したら、着替えなどを準備できるように別室にお通しします。その後、改めて施主があいさつをし、茶菓でもてなします。

施主より一周忌法要開始のあいさつ

自宅や会場で法要を営む場合は、仏壇または祭壇に向かって参列者が全員着席した後、施主または世話役が仏壇の灯明をつけて、線香をあげます。法要の準備が整ったら、施主は法要の始まりを告げるあいさつを述べ、僧侶に一礼します。なお、寺院で法要を営む場合は施主のあいさつは行いません。別室で寺院から簡単なもてなしを受けた後、本堂に移動して僧侶の読経が始まります。

僧侶の読経

参列者は基本的に正座して、僧侶の読経を拝聴します。読経の最中、足がしびれたりしたら、見苦しくない程度に足を崩してもかまいません。また、正座が難しいお年寄りなどには、椅子を用意することもあります。

焼香

読経の途中で、僧侶から焼香の合図があります。合図されたら、施主側の代表者から焼香を始めます。焼香の順番は、故人と縁の深い順に進めます。仏壇や祭壇の前に一人ずつ進み出て焼香をするのがほとんどですが、自宅や狭い会場では、焼香を参列者の席に回し、自分の席で焼香する「回し焼香」になる場合もあります。

僧侶の法話

焼香の後、読経が終了すると、僧侶の法話が始まります。法話の内容は、僧侶に一任するのが一般的ですが、もし内容に希望があれば、事前にその旨を伝えておきましょう。法話が終了したら、合掌して一礼し、これで法要は終了となります。

なお、最近の法要において法話は省略される場合もあります。

お墓参り

寺院で法要を営む時や、お墓が近い場合は、参列者一同でお墓参りをします。僧侶にも同行してもらい墓前で読経してもらうこともあります。お墓が遠い場合、後日家族だけで行ってもかまいません。

お斎開始のあいさつ

一周忌法要後の会食は「お斎」と言い、参列者を感謝の意味でもてなす席です。施主はお斎が始まる前に参列者にお礼のあいさつを述べます。一般宴会で行われる「乾杯」の発声はお斎に置いては「献杯」となります。

お斎の進行

お斎の席は僧侶を上座に、親族、友人の順に並び、施主と家族は末席に座ります。お斎が終わりに近づいた頃、施主は参列者にお礼を述べ、引出物を渡します。近年の家族葬の普及で、お斎に僧侶を招かないで親族のみで行われるケースも増えてきました。ルールはありません。施主と遺族の考えで決めてよいでしょう。

法要後のお斎は省略することもある

法要の本来の目的は、故人と生前に縁の深かった人たちが故人を思い、偲ぶことにあります。家族葬が一般的になってきた昨今は、法要を簡素化する傾向にあり、お斎を省略することもあります。しかし、集まってくれた方々への感謝の意としてささやかでも行うほうが望ましいでしょう。お斎を省略する場合は、法要の案内の際に伝えるほか、法要が終了した時点でお礼のあいさつとともにその旨を参列者に伝えます。その際、あらかじめ用意しておいた折り詰めと酒の小瓶を引出物に添えて渡します。

まとめ

一周忌法要は、四十九日法要や三回忌法要と並び、遺族や親族だけでなく友人や知人といった比較的広い範囲の参列者を招くことが一般的です。ここ数年で増えた、家族葬の普及により、家族のみで行う小規模な一周忌法要が増えています。多くの人が参加する法要は遺族にとっても負担になりえます。一周忌法要は、故人が亡くなり葬儀を行ってから、満一年目の時に行う法要の1つです。四十九日の次に大切な法要とされていますが、一周忌の法要は家族のみで行っても問題はありません。法要をどの程度の規模で行うかは家族の考え方次第です。

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