近年、葬儀の形態は多様化しており「家族葬」という、文字通り家族や近しい親族だけの少人数で執り行うスタイルが主流となっています。規模や参列の人数が少なくなっても「故人を偲び、弔う」という気持ちは変わりません。その中で、遺族の代表として葬儀を取り仕切る重要な役割を担うのが「喪主」です。初めて喪主を務めるという方も少なくないでしょう。そんな方にも不安なく務めあげられるよう、今回のコラムでは、慌ただしい中、喪主が臨終から葬儀後にかけて行うべきことを前編、後編に分けて詳しく解説します。後編では「通夜式当日」から葬儀後、家族(遺族)の協力について考察していきます。
喪主がやること【通夜式当日】
通夜当日は、喪主が中心となって進行を把握し、参列者への対応を行います。主に席次や焼香順、供花の配置順、返礼品、会葬礼状の確認、菩提寺僧侶への対応です。喪主は開式の2時間前までには会場に入り、諸々の準備に入るのが望ましいでしょう。
席次、焼香順の確認
一般葬の場合は祭壇に近い席が上座となるため、故人と関係が深かった参列者に着席を促しましょう。焼香順は家族、親族、参列者(関わり深い方)、一般の参列者の順に行います。
近年葬儀の主流となりつつある家族葬の場合は、一般葬に比べて順不同で問題ない場合もありますが、一般葬の席次、焼香順にならった方が無難でしょう。
迷ったら葬儀社の担当者に相談してみるものよいでしょう。
供花の配置を確認する
供花は故人ともっとも関係性が近い方が祭壇右側、次いで左側…と交互に配置していきます。訃報を出した後に、取引先やお世話になった方から追加で供花が届くことが多いですが、並び替え等で迷ったら、葬儀社の担当者に相談してみましょう。
返礼品、会葬礼状の確認
通夜、告別式にお渡しする返礼品と、これに添える会葬礼状の確認が必要です。よく混同されるのが「香典返し」です。こちらは四十九日法要が済んでからの手配となりますので、後日の手配となります。
僧侶への挨拶
喪主は僧侶が会場に到着したら挨拶をします。その時にお布施の額をお聞きするケースが多いです。宗派や地域によってことなりますので葬儀社の担当者に確認してみるのがよいでしょう。
受付での対応
受付で参列者への挨拶や香典の受け取りなどを行います。受付担当者を近い親族から指名してお願いします。弔問客からの香典を受け取りますので責任重大です。式終了後には香典をまとめて厳重保管するよう指示しましょう。
通夜式での挨拶
通夜式終了時の挨拶は喪主の大切な務めです。挨拶をする際は、簡潔に2~3分程度で終了するようにしましょう。挨拶は、簡潔で分かりやすく、感謝の気持ちを伝えることが大切です。ポイントは下記を参照ください。
・参列者への感謝
・故人の略歴や人となり
・生前の故人との思い出
・今後のこと(例:故人の供養について)
通夜振る舞い
通夜振る舞いとは、通夜の後に参列者や僧侶を簡単な料理やお酒でもてなすこと。故人と一緒にとる最後の食事と、参列者や僧侶への感謝の気持ちを表す意味が含まれています。喪主は通夜終了後に参列者に声をかけ、故人との生前との付き合いや、お越しいただいた感謝の気持ちを伝え参加促すのが一般的です。喪主は料理内容やお酒の手配や料金を葬儀社と事前相談し決めなければなりません。
喪主がやること【葬儀/告別式当日】
通夜式で、ある程度の準備は整っていますので、告別式当日朝は比較的余裕があります。とは言え喪主のやることはまだまだ沢山あります。故人をしっかりと送り出す最後の日です。家族や近しい親族の協力を得ながら進めていきましょう。喪主は最低でも開式の1~2時間前までに到着し、葬儀社スタッフと事前打合せしましょう。
諸々の確認作業
追加で届いた供花の配置・並べ替え、返礼品と会葬礼状が足りているかなどです。また弔電の確認と葬儀で読み上げる案件を選別します。
僧侶への挨拶、お布施のお渡し
喪主は僧侶が会場に到着したら挨拶をします。その時にお布施をお渡しするのが一般的です。お渡しの際はそのままではなく、事前に袱紗から出し「切手盆」と言われる黒塗りの小さなお盆に乗せるのが一般的です。読経や戒名・法名を頂いたことに対しての御礼も合わせて伝えましょう。
受付での対応
受付で参列者への挨拶や香典の受け取りなどを行います。通夜式同様、受付担当者を親族から指名してお願いします。出来れば通夜式と同じ人に依頼する方がよいでしょう。葬儀・告別式終了後には香典をまとめて厳重保管することを指示しましょう。
会葬御礼の挨拶
告別式の終盤に喪主からの挨拶をします。喪主の挨拶には、故人との関係性、葬儀に参列していただいたお礼や、故人が生前に受けた厚意へのお礼、故人の人柄が伝わるエピソードなどが一般的に入れられます。通夜式同様、2~3分程度で長くなり過ぎないよう気を付けましょう。内容は通夜と重複しても構いません。
ポイントは下記を参照ください。
・参列者への感謝
・故人の略歴や人となり
・生前の故人との思い出
・今後のこと(例:故人の供養について)
出棺時の挨拶
葬儀/告別式が終わり、葬儀場前のエントランスまたは駐車場で霊柩車に棺を運び入れます。火葬場へ向かう出棺の際に挨拶を行います。参列の御礼を中心に1分程度の手短な挨拶がスマートです。
火葬場での対応
葬儀・告別式が終わったら火葬場へ移動します。霊柩車、各々の自家用車、葬儀社のバスに分乗の指示を出しましょう。火葬場に移動した後はスタッフの案内に従い、故人と最後のお別れをします。火葬が終わるまでの時間の目安は90分程度。その間は火葬場の控室に移動し、待機します。控室ではお茶やお酒、お菓子を用意し、待つことが一般的。火葬が終わると、収骨を行います。収骨とは、参列者が箸でご遺骨を拾い骨箱に収めること。収骨した遺骨は、喪主が自宅に持ち帰るのが一般的です。自宅に持ち帰った骨箱は、後飾りに安置し、四十九日法要まで供養をします。
初七日法要〜精進落としを行う
最近では初七日法要は葬儀/告別式後に執り行われるケースが多いです。
収骨や火葬後の精進落としの会食も喪主が主導します。骨箱に収骨された遺骨は、喪主が持ち帰るのが一般的です。火葬場から帰ったら、後飾り祭壇へ遺骨を安置します。この会食での挨拶も喪主が行いますが、感謝を伝える簡素な内容で問題ありません。
喪主がやること【葬儀後】
葬儀後も、喪主は様々な手続きや手配を行う必要があります。お金が絡む問題は喪主の信用に関わるので、滞りなく終わらせなければなりません。
葬儀費用の清算
葬儀の翌日以降に葬儀社から費用の連絡があるため、期限内に支払いを済ませます。
役所や金融機関、保険会社への手続き
死亡届の提出、金融機関の口座閉鎖の手続き、保険請求の手配等です。また故人が勤めていた場合、会社関係の対応も喪主が対応するケースが多いようです。
香典返しの手配
通夜、葬儀/告別式で香典をいただいた方へ御礼の品を手配します。お渡しするタイミングは、四十九日法要が執り行われた後が一般的で、「四十九日法要を無事終えました」といった内容のお礼状を添付するのがマナーです。
法要の手配
初七日法要、四十九日法要などの手配を行います。仏教では、死後四十九日を過ぎると故人の魂があの世へ行くといわれています。そのため、忌明けの時期とされ、遺族が普通の生活に戻る大切な節目でもあり、とても重要な法要となります。葬儀から日程も近いので開催日時だけでも家族、親族、菩提寺僧侶と調整することをおすすめします。
遺品整理
故人の遺品整理を行います。遺族で相談して「形見分け」を意識して整理に取り掛かります。思い出や愛着があり、なかなか整理出来ない品もありますが、思い切ることも必要です。タンス等の家具などの大型遺品は専門業者もいるのでインターネットで検索してみましょう。
喪主の親族(遺族)がやることは?
大きな悲しみの中、喪主を支え、葬儀が円滑に進むようにサポートするのが、他の遺族の役割です。率先して喪主をサポートすればきっと故人も喜んでくれるはずです。
・通夜、葬儀/告別式での受付業務
・参列者への対応
・食事の手配
・参列者送迎時の運転手
・その他、喪主から依頼されたこと
まとめ
以上のように喪主は臨終から葬儀までの短い期間、様々な判断をしなければならず、とても大変なことがお分かりいただけたでしょう。
最近では葬儀社主催の「事前相談会」が随時開催されており「もしもの場合」に備えて、予算や段取り等のシミュレーションを提案してくれます。葬儀本来の「故人を偲び弔う」気持ちが疎かにならないためにも、事前相談会参加をおすすめします。
事前相談はこちら
https://familyhall-sora.jp/advance-consultation/