葬儀のマナー

正月に訃報を受けたときのお悔やみマナー|香典・連絡・年賀状や寒中見舞いの対応

作成日:2025年12月15日 更新日:2025年12月15日

はじめに ─ 新年に届く訃報への戸惑い

新年の喜びに包まれるお正月。新しい年への期待を胸に、ご家族や親戚と過ごす穏やかな時間は、多くの人にとって一年のはじまりを感じる大切なひとときです。そんな中で、突然の訃報が届くことがあります。
「どう対応すればよいのか分からない」「香典をすぐに送るのは失礼?」「年賀状を出してしまったけれど、どうすれば…」──。

慶事の最中である正月に悲しい知らせを受け取ると、誰しも戸惑うものです。特に近年は家族葬が増え、訃報の伝え方や葬儀への関わり方が多様化しているため、従来のマナーに加えて新しい配慮も求められています。
新潟県下越地方/新潟市周辺のような冬の天候が厳しい地域では、年末年始の交通事情や天候の影響もあり、葬儀の日程や参列のタイミングが難しい場合も少なくありません。そのような中でも、ご遺族の心に寄り添い、静かに弔意を伝えることが何より大切です。

本コラムでは、お正月という特別な時期に訃報を受けた際の基本的な対応から、香典・弔問・はがきのマナーまで、分かりやすく解説します。慌ただしい年始に迷わないよう、落ち着いた心で対応するための参考になさってください。

目次 [閉じる]

正月に訃報を受けたときの基本的な対応

お正月は本来「祝い事の時期」。新年の喜びを分かち合う期間にあたるため、一般的には弔事を避ける風習があります。しかし、御不幸に時期や季節は関係ありません。正月に訃報を受けた場合でも、まずは落ち着いて、静かに弔意を示すことが大切です。
松の内(新潟県では1月7日まで)は祝いの期間とされ、この間に香典を届けたり、弔問に伺ったりするのは控えるのがマナーです。
喪家も年始の慌ただしさの中で葬儀の準備や対応に追われていることが多いため、無理に行動せず、まずはお悔やみの気持ちを電話やメールなどで簡潔に伝えましょう。

 

例文
「突然のことでお力落としのことと存じます。落ち着かれた頃に改めてお伺いしたいと存じます。」
このように控えめな言葉で気持ちを端的に伝えるだけでも十分です。形式よりも、「静かに見守る」姿勢が相手や遺族の心を支えます。

香典の渡し方とタイミング

正月に香典を準備する際は、渡す時期と表書きに注意が必要です。松の内の期間中は慶事優先とされるため、この時期の香典送付は避け、松の内明け(1月8日以降)に渡すのが一般的です。
表書きの例は次の通りです。

 

●仏式:御霊前(ご逝去後49日まで)または御佛前(ご逝去後49日以降)
●神式:御玉串料、御神前
●キリスト教式:御花料

 

水引は黒白または双銀を用い、正月らしい華やかなものは避けます。
郵送する場合は現金書留にし、短い手紙を添えると丁寧です。

 

例文
ご訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様のご心労をお察しいたします。
また、家族葬では「香典辞退」としているケースもありますので、慌てて準備、無理に送らず、喪家の意向を最優先にしましょう。「ご遺族のお気持ちを大切にすること」が何よりの礼儀です。

弔問・訪問のマナー

正月に訃報を受けた場合、弔問のタイミングは慎重に見極める必要があります。
お正月は「祝い事の期間」であるため、前記のように松の内(新潟・関東1月7日または関西地域は1月15日まで)の間に喪家を訪ねるのは避けるのが基本的なマナーです。
この時期はご遺族も落ち着かず、年始の来客対応や法要の準備などに追われていることが多いため、無理に訪問するよりも、まずはお悔やみの言葉を手紙や電話で伝えるにとどめましょう.

 

訪問前には必ずご遺族に連絡を入れ、「お伺いしても差し支えないか」を確認することが大切です。突然の訪問は、相手にかえって気を遣わせてしまいます。
もし訪問が叶う場合、服装にも配慮しましょう。
弔問は葬儀のような正式な場ではないため、喪服ではなく地味な平服で構いません。黒や濃紺、グレーなど、落ち着いた色のスーツやワンピースが適しています。
新潟県下越地方・新潟市周辺の冬は積雪が多く、風も強いため訪問の際は防寒具が必要ですが、派手なコートや毛皮、明るいマフラーなどは避け、玄関先で脱いでから室内に上がるのが礼儀です。
靴下やストッキングも黒やグレーなど控えめな色を選びましょう。
訪問時には、香典や供花を持参しても構いませんが、事前に「お受け取りいただけますか」と確認しておくのが丁寧です。
香典を辞退されている場合は、手ぶらで構いません。その代わりに、短い手紙でお悔やみの気持ちを伝えると良いでしょう。
訪問時には、次のような言葉を添えると好印象です。
「お正月早々にお伺いし、誠に失礼いたします。突然のことでお力落としのことと存じます。」
「お寒い中、いろいろと大変だったことと思います。どうぞご無理をなさいませんように。」
話題の中心はあくまで故人への想いとご遺族への気遣い優先がよいでしょう。
世間話や明るい話題は控え、遺族の故人への思いに静かに耳を傾ける姿勢を心がけましょう。特にご遺族が故人の思い出を語り始めたときには、無理に言葉を挟まず、うなずきながら聞くことで、相手側に寄り添った弔問となります。
滞在時間は10〜15分程度が目安です。長居をせず、あくまで「お悔やみをお伝えするための訪問」であることを意識しましょう。
退席の際には「寒さの厳しい折、どうぞご自愛ください」と一言添えると、冬の時期らしい優しい気遣いが伝わります。
なお、天候が荒れやすい新潟の冬では、無理に訪問せず、寒中見舞いのはがきやお供えの郵送で弔意を表すのも十分に心のこもった対応です。
喪家の負担にならない形で、「気持ちが伝わる方法」を選ぶことが、正月の弔問マナーの本質といえるでしょう。

年賀状が届いた場合の対応

年末に喪中を知らずに年賀状を出してしまった、あるいは喪家から年賀状が届いた場合、戸惑う方も少なくありません。
まず押さえておきたいのは、「慌ててお詫びの電話を入れる必要はない」ということです。喪家側も、年賀状のやり取りが知らなかったことによる不都合であることは理解しています。むしろ焦ってすぐに連絡すると、かえって相手に気をつかわせてしまうことがあります。年賀状を受け取った場合の対応としては、松の内が明けてから寒中見舞いの形で改めて弔意を伝えるのが良い方法です。このとき、文面には「新年を祝う表現」は避け、相手の心情に寄り添う言葉を中心にします。

 

例文:
「寒中お見舞い申し上げます。
ご家族の皆様におかれましては、ご心労の多いことと拝察いたします。寒さ厳しき折、どうぞお体をご自愛ください」
こうした対応により、相手に対して誠実な気持ちを伝えられるでしょう。

喪中を知らずに年賀状を出してしまった場合

喪中はがきを受け取っていなかった場合、年賀状を出してしまうことがあります。この場合も慌てる必要はなく、やはり寒中見舞いでフォローするのが一般的です。大切なのは「お詫び」よりも「相手への気遣い」を前面に出すことです。

 

例文:
「寒中お見舞い申し上げます。
このたびはご不幸のことを存じ上げず、年始のご挨拶を差し上げてしまい、誠に失礼いたしました。
ご家族の皆様にはご心労の多いこととお察しいたします。
寒さ厳しき折、どうぞお体を大切にお過ごしください」

 

手書きの一言を添えると、より気持ちが伝わります。
また、新潟県下越地方・新潟市周辺のような風雪が厳しい地域では、足元や寒さに配慮した言葉を加えると、季節感もあり丁寧な印象になります。

寒中見舞いでのお悔やみの伝え方

寒中見舞いは、年賀状を控える喪中期間の代わりに出す挨拶状として活用できます。送る時期は、松の内明け(1月8日頃)~立春(2月4日頃)が目安です。
はがきのデザインは、落ち着いた色合いで、梅や椿、雪景色など静かな冬の情景を描いたものを選びます。華美なものや祝賀色の強いものは避けましょう。
文面のポイントは以下の通りです。

 

●故人への弔意とご遺族への気遣いを中心にする
●新年を祝う表現は避ける
●季節の気遣い(寒さや雪など)を添える

 

例文
「寒中お見舞い申し上げます。
ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。
ご家族の皆様には寒さ厳しき折、どうぞご自愛のほどお祈り申し上げます。」
地域性を反映して、「寒さ厳しい毎日ですが、どうぞご自愛頂き、お足元にお気をつけてお過ごしください」と添えると、温かみのある文章になります。

正月ならではの配慮と注意点の整理

正月に訃報に接した際には通常の弔事マナーに加え、正月特有の配慮が求められます。

 

●松の内は弔意を形にせず静かに待つ
正月三が日や松の内は祝い事優先の期間です。香典や供花、訪問は控えましょう。

 

●電話や訪問は控えめに
どうしても連絡が必要な場合は簡潔に、相手の負担にならないように。

 

●香典・供花は松の内明けに
表書きや水引も落ち着いたものを選びます。

 

●年賀状・寒中見舞いの表現に注意
「おめでとう」「賀正」など祝い言葉は避け、弔意や季節の気遣いを中心にします。

 

●香典辞退への配慮
現代では家族葬や小規模葬が増え、知らせを限定するケースが多くあります。無理に訪問せず、知らせていただいたことへの感謝を示す姿勢が最も誠実です。

 

特に雪や寒さが厳しい地域では、訪問よりも手紙や寒中見舞い、現金書留などでの弔意表明が適しています。形式よりも「ご遺族の負担にならない方法で心を伝える」ことを優先するのが、正月特有の配慮です。

まとめ ── 思いやりが伝わる静かな対応を

正月に訃報を受けた場合、慌てず落ち着いて行動することが大切です。

 

●松の内は静かに過ごす
●弔問や香典は時期を見計らう
●年賀状や寒中見舞いでは言葉遣いに注意する
●これらを意識するだけで、ご遺族に対して誠意と気遣いが伝わります。

 

特に家族葬の増加により、従来のマナーだけではなく「相手の意向に沿った対応」が求められるようになりました。知らせを受けた際は、慌てず静かに見守る姿勢が、最も誠実な対応です。正月の慌ただしさの中でも、静かでやさしいお悔やみを届けることが、大切な方への思いやりにつながります。

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