葬儀は形式によってマナーが異なります。一般葬とは異なり、小規模・少人数で行う家族葬にも、家族葬ならではのマナーがあります。遺族や故人と親しかった友人・知人を中心に行う家族葬は、規模が小さい分、参列できる人数にも限りがあります。それゆえ、一般葬とは異なる気を付けておきたい点も。故人らしさを尊重し、遺族に負担なく寄り添うことができる家族葬という形式を選択されたのですから、関係する皆さんには安心して式の前後も過ごしていただきたいものです。そこで、今回は、遺族(喪主)側が家族葬で気を付けておきたい点について解説します。
家族葬を行う了承を得る
家族葬を行う場合は、親族に相談しておくことが大切です。なぜなら、家族葬は人数や規模が限られた葬儀のため、親族においても参列できない方が生じてしまう場合があるからです。親族の中には、家族葬という新しい葬儀形式を理解できず、「どうして自分は親族なのに呼ばれないのか?」といった不満を抱く方がいるケースも。
後々、トラブルにならないためにも、親族をはじめ、周囲の方々に対して、家族葬の行い方や、家族葬を行いたいという意思をきちんと説明し、納得してもらってから準備に取りかかることが大切です。
族葬を行うならどこまで参列者を呼ぶか
家族葬の場合、参列者をどこまで呼ぶかにルールはありません。家族葬だからといって親族だけという決まりもありません。故人が葬儀に参列してほしい親族や友人についてを明確に書き記すなどしている場合はスムーズですが、そうでない場合は、遺族や喪主にその決定権があります。とはいえ、どこまで声を掛けるのか、遺族にとっては悩ましい問題…。その場合、参列者の人数を基準に考えてみてはいかがでしょう。
①10名程度:ご遺族のみ(故人の配偶者・子ども・子どもの配偶者・孫など)
②20名程度:ご遺族+親族(①+故人の兄弟姉妹と配偶者など)
③30名程度:ご遺族+親族(②+故人のいとこ・甥・姪など、もしくは②+親しかった友人)
④50名程度:ご遺族+親族+交友関係
10名程度で行った場合は葬儀に呼ばれない親族もいます。親族間でのトラブルを避けるためにも、遺族のみで家族葬を執り行う旨を、事前にきちんとお伝えすることが大切です。また、あまり多くの参列者を呼んでしまった場合、本来の家族葬とは異なる内容の葬儀になってしまうケースもありますので、慎重に決める必要があります。
呼ばない方にもきちんと連絡をする
親族や友人からの「どうして呼んでくれなかったのか」というクレームは、家族葬において起こりがちなトラブルの一つです。そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、周囲への連絡はきちんと明確にしておくことが大切になります。
親族や親しかった友人などには、事前に近親者のみで家族葬を行う旨を、失礼にならないよう理由を添えて丁寧にお伝えしておいたほうがいいでしょう。「故人の意思」や「遺族の意思」といった明確な理由を添えて、「誠に勝手ながら通夜ならびに葬儀・告別式は近親者のみで行うため、弔問等はご遠慮いただくようお願いいたします」など、シンプルな言葉でお伝えしましょう。
訃報連絡か葬儀への参加願いかを明確に
当日呼んでない方が参列してしまう、といった原因の一つとして、訃報連絡を葬儀への参加願いと勘違いしてしまうケースがあります。参加願いの場合は訃報連絡に葬儀日時や葬儀場所を記載し、訃報連絡のみの場合は葬儀についての詳細を記載しません。通夜や葬儀当日のトラブルを避けるためにも、訃報連絡か葬儀への参加願いなのか、案内を受け取った側が明確にわかるよう、心掛けながら案内状を作る必要があります。
どこまで呼ぶかは明確な判断基準で
参列者が限られている家族葬ですが、お呼びしていない方の中にも「どうしても故人とお別れがしたい」と、直接申し入れをしてくる方もいます。こういった申し入れに対しては、個々に許可してしまうと、際限がなくなってしまい、あの方はお受けするけどこの方はお断り、とお断りしてしまった方に説明がつかなくなってしまいます。ですので、どこまで呼ぶか明確に決めておき、例外は基本的に受け入れないといった姿勢で家族葬を執り行うことをおすすめします。
とはいえ、故人に対する思いや故人との関係性は、遺族にはわからない部分もあります。相手ときちんとお話したうえで、判断することが賢明といえます。どうしても参加をお断りしなければいけない場合は、後日、お別れの会などを設けることも一つの手です。